財務分析の必要性

 中小企業経営者の皆さま、こんにちは。

 今回は、財務分析が必要なのか、否かについて考えてみましょう。

 中小企業を経営していて、財務分析というものを扱った経験はありますでしょうか?

例えば財務分析の一番王道な指標に「自己資本比率」というものがあります。

 ある決算報告の際、税理士の先生からの指導で「御社の自己資本比率は30%です。これは良好な数値ですね!」と言われたとします。

 しかし、翌期は赤字を出してしまいました。繰越利益が少なくなり、「当期の自己資本比率は8%です。緊急に対策が必要です」などと言われたとします。

 これは大変だと、売上向上プラン、経費削減プランを練って、社員の反対もある中で苦労をして実行し、なんとか利益を出すことができました。

そこで決算報告の際、「自己資本比率は15%になりました。前期よりは改善しましたが業界平均には及ばないのでさらなる改革が必要です」

「・・・・」

(社員辞めちゃったよ。これ以上どうしろって言うんだよ)

数字を扱うのではなく、数字に経営を振り回されてしまう。このような例は、中小企業にはよくあるケースです。

こういった経験をされた経営者さまは、【財務分析なんて意味がない。むしろ逆効果だ!】と、思うでしょう。

これは財務指標ありきでコンサルティングを行った税理士様にも、そして経営者様にも本質を理解できていないことが原因と考えられます。

財務分析の本質とは一体何なのでしょうか?

財務分析とは

 ・ 過去の数値

 ・ 相対的な流れを知るためのもの

 ・ 参考程度のもの

であります。

 しかし、税理士の先生に指摘されると、それが企業としても至上命題で、どうしても改善を要求されているような気持ちになります。

財務分析が参考程度のものに過ぎないのに、絶対的なものだと勘違いしてしまうからです。

では、財務分析は企業にとって全く不要なものなのでしょうか。

答えは、NOです。

どうせ過去のものでしょ

どうせ相対的なものでしょ

どうせ参考程度のものでしょ

と、言われれば「はい、その通りです」と言うでしょう。

しかし、それでも必要なのです。

その理由は、財務分析の指標を頭に置いておくか、置かないかの違いで経営判断が180度変わってくるからです。

 例えば、銀行から借入をしようとします。

お金を借りるのには利益を出していないと銀行は貸してくれません。なぜならお金を返済するのは、経費でなく利益だからです。

お金を借りる事業計画書を作ることになりますが、利益が増える計画を作らねばなりません。100万円の利益では返済できないため、200万円の利益が必要だという判断になったとします。

では、利益を出すためにはどうすればよいでしょうか?

ここで財務分析が頭に入っている人といない人とでは計画書の実現性に雲泥の差が生まれます。

財務分析が頭に入っていない人は、こう考えます。

利益が2倍だから売上も2倍か。と言う事は、売上を作る社員も2倍。社員が2倍ということは事務所も2倍。お金も2倍必要。でもお金を貯めるには利益も2倍。あら、利益を2倍にするのが目標だったよな!!

全て2倍になんてできるわけがない!!

これはちょっと大げさですが、多かれ少なかれこのループにハマってしまうケースは稀ではありません。

そして銀行からツッコミが入ります。

売上が2倍になる根拠を明確に示していただけませんか?

そのエビデンス(証拠資料)はございますか?

と。

彼らは稟議書を書かないといけないので根拠やその証拠資料がないと承認を得ることができません。

では、財務分析が頭に入っている経営者はどう考えるか、というと、

利益を2倍にするには売上、原価率、労働分配率の各指標5%の法則をまず軸に検討してみよう!と、考えます。

売上はまず5%上げなくてはいけないな。それなら今期は新規の取引がもう間もなく決定するから見込みはありそうだ。下落要因はないだろうか。営業部隊に確認してみよう。

原価率は5%下げなくてはいけない。仕入先は昔に比べればたくさん量を仕入れているからそろそろ安くしてもらえる会社がありそうだ。仕入管理部門に確認してみよう。

そして最後は人件費。最近システムを導入した割にはいまだにダラダラ残業しているな。付き合い残業もまだありそうだ。人事部に確認してみよう。それを削れば人件費5%は可能かもしれない。

この3点で5%改善するのが難しければ次善策は何だろうか。考えられるのは、広告、家賃、接待交際費などは手をつけやすいかもしれない。

経理に確認してみよう。

いかがでしょうか。

売上2倍という天文学的数字を掲げ不可能とわかっていても突っ込んでいくタイプと、各々の数値を細分化して微調整を図るタイプ。

当然後者の方が実現可能性は高そうだと思われるでしょう。

これが財務分析が頭に入っている経営者の頭脳構成です。資金調達という経営の一場面だけを見てみてもこれだけの差がつくのです。

 さて、改めて冒頭の財務分析が必要か否かを考えてみると、自己資本比率の例にしても、資金調達の例にしても、財務分析が頭に入っていれば税理士の先生や銀行からの指摘に右往左往せず、建設的な考え方をすることができます。

 ここが財務分析の一番重要な部分ではないかと私は考えています。

 そしてここでは割愛しますが、全体を網羅的に検討することができるのがROAという指標なのです。ROA経営はこれらの数値を図解で理解するため数字にアレルギーを感じている経営者様もすぐに理解できます。次回はROA経営について説明をはじめていきたいと思います。

 ご閲覧ありがとうございました。

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